「マルチタスク」は×、「素早い切り替え」は○

マルチタスクは一般的には「悪」以外の何ものでもありません。なので、成果を出すものであれば、マルチタスクは避けるべきものです。

「自分はマルチタスクを難なくこなしている」と言うビジネスパーソンがときどきいる。確かに、電話会議に参加しながら、ほぼ同時にメールに返信することはできるだろう。
だが、それは実際には舞台を使う2つの作業を一度に行っているわけではなく、作業から作業へと注意を切り替えているにすぎない。
その結果、電話会議への注意がそがれ、重要なポイントを聞き逃し、新しい考えが「頭に入って」こない可能性がある。
また、記憶の研究者によると、長期記憶を形成するには、情報に細心の注意を払う必要がある。電話会議は聞こえているかもしれないが、後で振り返っても、議論の内容をほとんど思い出せないだろう。

デイビッド・ロック著『最高の脳で働く方法 Your Brain at Work』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2019年)

一方、アプリケーションの切替は、マルチタスクではありません。
作業を完成させるため、「能動的に」切り替えているものになりますので、いわゆる「マルチタスク」とは一線を画すものといえます。これは、徹底的に鍛え上げる必要があります。以下の引用は、「マルチタスク」と記載されていますが、アプリケーションの切替を指しています。

 最近の仕事はとにかく「マルチタスク(同時に複数の仕事をこなすこと)」が求められます。提案書を作っている最中にメールの返信もしなければなりませんし、ブラウザを開いて情報収集をしながらデータをまとめたり、プログラミングを書いたりする必要があります。マルチタスクをスムーズに行うためには、アプリケーションをサクサクと切り替えなければなりません。
 いちいちマウスを使うのはものすごく非効率、かつムダな時間です。「アプリケーションの切り替え」はWindowsだと〔alt+tab〕、Macだと〔command+tab〕で、こちらも非常に簡単です。

須田仁之著『捨てる。手を抜く。考えない。月460時間労働から抜け出した私の方法』(かんき出版、2019年)